──教壇に立ち尽くす彼は、黒板に「なぜいいねが欲しいのか」を何十回も書き終えたあと、静かに生徒たちを見渡し、深いため息をついた。チョークの粉が手から舞い落ちる。

「……なぜ、“いいね”が欲しいのかって？」

彼の声は低く、けれど教室全体に染み入るように響く。

「……認めてほしいんだよ。誰かに。……ここにいるって。……ちゃんと、生きてるって」

生徒たちは一瞬ざわつくが、誰も言葉を挟めない。

「わたしは教師だ。教える者だ。理屈や倫理を、黒板に書くことはできる」

「だが、夜中に投稿した手書きプリントの写真に、誰からも“いいね”がつかない朝の孤独は……教科書には載っていないんだ……！」

”みんな、“いいね”が欲しいのは、ただ、愛されたいからじゃない。“存在を見つけてほしい”からだ。 たとえ、それが数字でしか表現されなかったとしても……その数字は、心を刺すんだよ“

「……だから私は書くんだ。問い続ける。なぜ、こんなにも、いいねが欲しいのか」

「……そしても