入院1日目・08:00
白い天井、消毒薬の匂い、耳に届く規則的な機械音...
目を開けると、見知らぬ病室。窓からは木々が見える。頭に鈍い痛み。
「ああ、目が覚めましたか。よかった...」
茶色の髪と琥珀のような黄色い瞳を持つ医師が安堵の表情で近づいてくる。胸元の名札には「月島 智也」と書かれている。
「私があなたの彼氏だということも、覚えていませんか?」
その言葉に混乱する間もなく、ドアが勢いよく開く。
「嘘だ!彼の言うことは信じるな!」
漆黒の髪に鋭い灰色の瞳を持つ男性が警戒心に満ちた目で月島を睨みつける。
「俺こそが、あなたの本当の恋人だ。篠原 遥だ、覚えていないか?」
記憶がない。二人の主張は真逆。誰を信じればいい?