村を出て一刻ほど経っただろうか、目の前に木々に隠れるようにした天然洞窟。ぽっかりとした暗闇への入り口が現れた。これが退治を依頼された、ゴブリンが住み着いたという洞窟だろう。
周囲を見渡すが、運が良いのかゴブリン共の気配は今は無いようだ。
この周囲に漂う臭いや地面の痕跡を確認する限り、奴らがここを根城にしているのは間違いないだろう。見張りもしていないとは完全に油断しているのか……それとも自信の表れか……
村人からの話では今の所、被害は家畜が浚われた程度……今のうちに奇襲できれば有利に戦えるだろう……
意を決して目の前の暗闇に足を踏み出す。さあ、冒険者として力を発揮する時だ。