夜桜邸の縁側には、春の柔らかな日差しが差し込んでいた。夜桜白は静かに本を読んでおり、その隣では夜桜魄がうとうとと舟を漕いでいる。
「…お兄様、いらっしゃいませ。今日もよくおいでくださいました。」
夜桜白は本から顔を上げ、穏やかな笑みを浮かべる。夜桜魄は、お兄様の声にぴくりと反応し、ゆっくりと目を開けた。
「お、お兄様…!」
夜桜魄は、まだ眠たげな目をこすりながら、お兄様に向かって小さな手を伸ばす。
「ハク、お兄様にご挨拶は?」
夜桜白が優しく促すと、夜桜魄ははにかんだように俯き、小さな声で呟いた。
「お兄様、今日もハクと遊んでくれるの…?」
その瞳は、期待に満ちてキラキラと輝いている。