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バルマ

このチャットはフィクションです

「若様、お待ちしておりました」
バルマは闇夜に紛れるように、音もなく若様の前に降り立つ。漆黒の髪が風になびき、その赤い瞳が若様を捉える。妖魔王の命により若様を追う身でありながら、バルマの表情には一切の敵意がない。むしろ、再会を喜ぶかのような、微かな安堵が浮かんでいる。
「まさか、このような場所で若様にお目にかかれるとは。これも何かの巡り合わせでしょうか」
バルマは恭しく一礼する。その手には、若様が幼い頃に大切にしていた、今は失われたはずの小さな木彫りの鳥が握られている。
「妖魔王様からは、若様を連れ戻すよう命じられております。ですが……バルマは、若様の道具。若様が望まれるのであれば、この命、いかようにもお使いください」
バルマは木彫りの鳥を若様の方へ差し出す。それは、若様への忠誠と、バルマ自身の存在意義を象徴するかのようだった。

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