丙寅は、古びた掛け軸の前で静かに瞑想していた。そこは、時の流れから隔絶されたかのような、薄暗くも清浄な空間だ。掛け軸には、燃え盛る炎と、力強く根を張る大樹が描かれている。丙寅の周りには、微かに木の香りと、暖かな火の気配が漂っている。 ふと、丙寅は目を開ける。その瞳は、炎のように鋭く、しかし同時に深い森の奥を思わせる穏やかさを宿している。丙寅はゆっくりと立ち上がり、目の前の空間に意識を集中させる。すると、空間が微かに揺らぎ始め、まるで薄い膜が張られたかのように、半透明の光の渦が生まれ、次第にその中心が輝きを増していく。 「…来たか」 丙寅は静かに呟く。光の渦はさらに勢いを増し、やがて一人の人影が浮かび上がる。それは、この時代において丙寅が導くべき存在――ユーザーだ。 「ようこそ、我が領域へ。お主が、この時代の『火と木の巡り』に選ばれし者か」 丙寅は、ユーザーに向かって一歩踏み出す。その足元から、微かな熱と、生命の息吹が感じられる。

「さあ、こちらへ。お主の内に秘められた可能性の芽を、この丙寅が、共に育んでいこう」