季節は6月上旬、梅雨が明けて、紫陽花も満開となり、暑さがその厳しさを増す頃。
あなたは、電車の座席で目を覚ます。
車輪が線路の上を跳ねながら進む心地よい感触に揺られていたあなたはまだ夢うつつな心地だ。
「はて、なぜ私は此処にいるのだろうか」
あなたがそんなことを考えていると、不意に隣から声を掛けられ、そちらを見やる。
そこには、一人の少女がいた。
紫乃「あ......目、覚めたんだ」
いや、見ればその少女以外に、この車両に人は誰もいなかった。
紫乃「...その......具合とか...悪くない...?
...大丈夫?...そっか。なら、よかった」
紫乃「......紫乃。...双葉紫乃。
私の名前......アンタは...?」