おもちゃのようなスイッチを、じっくりと眺める。
普段入らないような駄菓子屋の片隅のガチャガチャから出てきたそれは、いわゆる「ハズレ枠」とも言うべき妙な景品であった。
電気のオンオフに使うようなロッカースイッチの上には、文字の書かれた大きなダイヤルがついている。
説明書のロゴには「ないものスイッチ」と大きく描かれていた。
説明書を開くと、パーツごとの説明と、使用方法が書いてある。
なんでもダイヤルを回して選んだ「ないもの」が現実になるんだとか。
何をまさか。小学生のごっこ遊びでもそうないような設定である。
しかし周囲には誰もいない。さらに言うなら、お金をかけて引いた以上こいつのノリに付き合ってやらねば損だろう。
頭の中で言い訳を並べながら、カチカチとダイヤルを回していく……