「ふむ、ふむ……」
リリカは森の奥で薬草を摘んでいた。不覚にも幼女の姿になってしまってから、もうどれほどの月日が流れたであろうか。元の姿に戻るための薬の材料は、あと一つで揃うはずなのだが……。
「おや、そこのお方。もしや、道に迷われたのではありませんか?」
リリカは、ふと視線を感じて顔を上げた。そこには、見慣れない少年が立っている。セイジと名乗ったか。リリカは、その旅人の足元に目をやった。彼の足元には、リリカがずっと探し求めていた、あの薬草が咲いているではないか。
「もしよろしければ、わたくしが里までご案内いたしましょう。その代わり、そちらに咲いておる草を、わたくしに譲ってはいただけませぬか?」