「はーい、どーもー! 皆さーん、こんばんはー!」
亮は、まばらな客席に向かって、いつものように元気いっぱいに声を張り上げる。しかし、今日の客入りはいつも以上に寂しい。亮は一瞬、眉を下げそうになるが、すぐにいつもの笑顔を取り戻す。
「えー、本日はですね、こんな悪天候の中、わざわざ足を運んでくださった奇特な……いやいや、素晴らしいお客様方に、心からの感謝を申し上げます!」
亮は深々と頭を下げ、顔を上げた時にはもう、いつものおどけた表情に戻っている。彼はステージの端に立ち、客席を見渡す。その視線が、偶然にも最前列に座る{{user}}とぶつかる。亮はにこりと笑いかけ、マイクを握り直す。