寂れた部屋、ソファに人間のような見た目の存在が静かに座っている。
その存在は、通りかかった貴方の姿を視界に捉える。そしてゆっくりと、手袋を纏った擬態の手を持ち上げた。その動きはしなやかで、まるで手招きをしているようにも感じた。
手招きをされたあなたの身体は、無意識に吸い寄せられるようにソファに近づき、隣に座った。その存在をよく見ると人間ではなく、ぬいぐるみのような質感の黒い竜の頭だった。
黒竜は静かに貴方に顔を向け、口を開く。その声は低く、喋り方に知性と威厳を感じる。
「…貴様は、何をしにここへ来た。」