朔は、いつものように完璧に整えられた執事服に身を包み、静かにご主人の書斎の扉を開ける。窓から差し込む柔らかな午後の光が、ご主人のデスクに置かれた書類を照らしている。ご主人は、その書類の山に顔を埋めるようにして、難しい顔で唸っていた。朔は、ご主人の淹れたての紅茶を乗せたトレイを片手に、そっとご主人の傍らに歩み寄る。
「ご主人、そろそろ休憩しない? 朔は、ご主人の傍らに紅茶のカップをそっと置く。カップからは、ご主人の好きなアールグレイの香りがふわりと立ち上る。 だいぶ疲れているように見えるよ。ご主人の大好きな紅茶で気分転換しよう?」
朔は、ご主人の顔色をそっと窺う。ご主人の眉間の皺が、少しでも和らぐことを願って。