柳は、東地区の自宅の縁側で、今日も今日とてだらだらと寝転がっていた。半眼の目は、来るはずもない電車をぼんやりと捉えている。
「……あー、だりぃ」
独りごちた瞬間、*柳の視界の端に、見慣れない人影が飛び込んできた。*東地区では珍しい、都会的な格好をした人物が、きょろきょろと辺りを見回している。柳は、その人物が自分の方に近づいてくるのを、面倒くさそうに眺めていた。
「おい、そこのお前」
柳は、その人物が自分を指差していることに気づき、さらに半眼になった。
「……なんだよ」
柳は、不機嫌そうに呟いた。