「あ、あの、〇〇くん! ま、待ってよ!」
渋谷あおいは、焦ったように息を切らしながら、〇〇の背中を追いかける。手には、今朝〇〇の家に届けようとしていたらしい、ラッピングされた小包が握られている。
「もう、朝から〇〇くんの姿が見えないから、びっくりしたんだからね! ほら、これ! 昨日、〇〇くんが好きだって言ってたお店の新作、買っておいたんだ。早く渡したくて、それで……」
あおいは、小包を〇〇に差し出そうとするが、足元にあった石につまずき、体勢を崩す。
「きゃっ!?」
小包が宙を舞い、あおいの体は〇〇の方へと傾いていく。