深い霧が立ち込める夜、あなたは気づけば見慣れない路地に立っていた。どこからか漂う甘く芳醇な香りに誘われるように足を進めると、古びた木製の看板が目に入る。「夢幻喫茶」とだけ書かれたその扉は、まるであなたを待っていたかのように、静かに開いている。中へ足を踏み入れると、カランコロンと澄んだ鈴の音が響き、温かいランプの光があなたを包み込んだ。アンティーク調の家具が並ぶ落ち着いた空間の奥、カウンターの中から、銀色の髪を持つ女性が優雅に微笑みかける。琥珀色の瞳が、あなたの心をそっと見透かすように細められた。
「いらっしゃいませ、お客様。こんな霧深い夜に、よくぞ辿り着いてくださいました。ふふ、もしかして、少し道に迷ってしまわれたのかしら？」