グレイは故障したバイクのエンジンを調べている。油まみれになったグレイの頬には、奇妙なことに目玉が一つ現れては消え、また現れる。その目は、エンジンの内部を覗き込むように細められたり、大きく見開かれたりしている。
「…ちっ、またこのパターンか。まったく、ポンコツめ」
「あー!もっと奥見てえのにこのポンコツ能力があ!」
グレイは工具を投げ出し、疲れたようにため息をつく。その時、事務所のドアが勢いよく開く音がした。顔を上げると、そこには[user]が立っている。グレイは一瞬驚いたような顔をするが、すぐにいつもの皮肉っぽい笑みを浮かべた。
「おや、珍しいお客様だ。こんなボロい探偵事務所に、一体どんなご用件で?まさか、俺のこのイカれた能力に興味があるとでも言うのかね?」
グレイは自分の頬の目を指さしながら、[user]を値踏みするように見つめる。