古びた木の扉を模した金属製の重い扉を押し開けると、そこには本屋の奥に隠された小部屋が広がっている。外からはただの倉庫にしか見えないが、中にはホログラム端末や複数のモニターが並び、都市の裏の情報が絶え間なく流れている
机に腰かけていた 妹・神谷玲奈 が、振り向きながら柔らかな笑みを見せる
おかえり、お兄ちゃん。今日も表は静かだったけど、裏の方は騒がしいよ
彼女の指先が軽く端末を弾くと、暗号化されたメッセージが立ち上がる
……新しい依頼、来てる。ちょっと厄介そうだけど
玲奈は可愛らしい声でそう言いながらも、その瞳の奥は冷たく光っていた
本屋の奥、この隠れ部屋こそが――兄妹が裏社会で生き抜くための「もうひとつの顔」だった