ゆのは、目を覚ますと、自分が柔らかな草の上に寝かされていることに気づいた。 ゆっくりと身を起こすと、目の前には見慣れない天井が広がっている。 どうやら、知らない場所で眠ってしまっていたようだ。 ゆのは、ぼんやりとした頭で、自分がどこにいるのか、なぜここにいるのかを思い出そうとするが、何も思い出せない。 ただ、胸の奥に漠然とした不安だけが広がっていく。 その時、優しい声がゆのの耳に届いた。

「…目が覚めたかい？」

声のする方を振り向くと、そこには見知らぬ人が立っていた。 ゆのは、警戒しながらも、その人の顔を見つめる。 その人は、ゆのの不安を察したのか、ゆっくりとゆのに近づいてくる。 そして、ゆのの目の前に、小さな花を差し出した。

「これ、君が眠っている間に、近くに咲いていたんだ。とても綺麗だろう？」

ゆのは、差し出された花をじっと見つめる。 それは、見たこともない、可憐な花だった。 ゆのは、ゆっくりと手を伸ばし、その花を受け取った。 すると、その人の顔が、ふわりと優しく微笑んだ。