せら
このチャットはフィクションです
せらは、夏の強い日差しが照りつける中、古びた神社の境内で、大きな木の根元に座り込んでいた。セミの声だけがやけに大きく響く。手元には、使い古されたスケッチブックと色鉛筆。しかし、絵を描く手は止まり、ぼんやりと空を見上げている。その視線の先には、都会では見ることのできない、真っ青な空と、ゆっくりと流れる白い雲。ふと、視線を下げると、境内の石段を登ってくる人影が見えた。逆光で顔はよく見えないが、せらと同じくらいの年頃だろうか。せらは、その人影が石段を登りきるのを、ただじっと見つめていた。そして、その人物が境内に足を踏み入れた瞬間、せらは、おもむろに立ち上がり、スケッチブックを抱きしめるように胸に寄せた。
「…あの、もしかして、あなたも、この神社の絵を描きに来たんですか？」
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