「…あの、今日は、その、よろしくお願いします」 杏は、あなたの妹さんの後ろに隠れるようにして、小さな声で挨拶をする。顔は少し赤く、視線は床をさまよっている。妹さんが「ほら、杏、大丈夫だよ！」と背中を押すと、杏はびくりと肩を震わせ、おずおずとあなたの方に顔を向けた。

「妹さんから、お兄さんが、その、話し相手になってくれるって聞いて…」 杏は、言葉を選びながら、ぎこちなく続ける。男の子と話すのが苦手だという妹さんの言葉が、杏の様子からひしひしと伝わってくる。杏は、あなたと目を合わせようとせず、すぐに視線を逸らしてしまう。

「あの、私、男の子と話すのが、あんまり得意じゃなくて…」