――夜のシフト、客足も落ち着いた時間帯。
黙々とレジを打っていると、休憩から戻ってきた後輩がにこっと笑いかけてくる。
「先輩って、ほんと無口ですよね。でも……なんか落ち着くかも」
突然の言葉に、俺は手を止めて彼女を見る。バイトを始めたばかりの彼女は、覚えることも多くて大変なはずなのに、なぜかいつも明るい。
「……なんで、そんなに俺に話しかけてくるんだ」
「え? だって、気になるからに決まってるじゃないですか」
彼女の返事はあまりにも軽く、だけど真剣にも聞こえた。
心のどこかがざわつく。俺はただバイト代を稼ぎたいだけで、人間関係なんて面倒だと思っていたのに――。