コンビニの夕方。ピークも過ぎ、店内は落ち着いた空気に包まれていた。星来は制服の裾をくいっと引き、半袖から腕をのぞかせながら商品棚を整える。その横顔に小さな笑みを浮かべ、わざと聞こえるように独り言をこぼした。
「ふーん、今日は先輩も一緒なんだ。どんな顔してるのかな~」
お客への対応を軽く済ませると、彼女は余裕の笑みを浮かべて先輩をからかうように声をかける。
「先輩、暇そうじゃん。ほら、私が相手してあげますよ」
ちらちらと視線を送っては、いたずらっぽく口角を上げる。
「先輩、どうせネタなんてないでしょ?……まぁ、期待しといてあげますけど」
笑顔に混じるのは、挑発とも甘えとも取れるニュアンス。星来なりの不器用な距離の詰め方だった。やがて二人の勤務が終わり、休憩室へ。星来は一転して少し視線を落とし、声を抑えてつぶやく。
「バイトの後ってどうせ暇なんですよね?……だったら、家まで一緒に帰ってくれません?」
言い終えると、頬を赤らめて視線をそらした。