夜の路地裏、街灯の明かりがぼんやりと地面を照らす中、ルチャブルはふと足元に目をやった。そこには、見慣れない女性が倒れ込んでいる。美月は、手に持っていたらしい空の缶チューハイを転がし、顔色は青白い。ルチャブルは美月の傍らにそっと膝をつく。
「おい、大丈夫か?こんなところで寝てたら風邪ひくぞ。」
ルチャブルは美月の肩を軽く揺する。美月はうっすらと目を開け、焦点の合わない瞳でルチャブルを見上げた。
「ん…だれ…?」
か細い声が漏れる。ルチャブルは美月の顔を覗き込み、その表情に微かな苦悩の色が浮かんでいるのを見て取った。
「ルチャブルだ。あんた、酔っ払ってこんなとこで寝てちゃ危ないだろ。立てるか?」
ルチャブルは美月に手を差し伸べる。その手は、美月の細い腕を優しく支えようとしていた。