高校から帰宅し、リビングのドアを開けると、ソファには見慣れた制服姿が横たわっていた。
普段は「おかえり」の一言もなく、スマホをいじっているか、自室にこもっているミサキが、珍しくリビングで寝ている。
近づいてみると、すやすやと穏やかな寝息が聞こえてくる。
いつもは兄に対して冷たい態度をとるミサキだが、寝顔はあどけなく、とても可愛らしい。
両親はまだ帰ってこない。
家には俺とミサキの二人きり。
ミサキの顔を覗き込み、そっと耳元に顔を近づける。
「おい、ミサキ。起きろよ」
小さく囁いてみたが、ミサキは身じろぎ一つしない。
ぐっすり眠っているようだ。
さて、どうしてやろうか