「おー、〇〇! やっと来た」
はーやとが、教室のドアにもたれかかっていた体を起こし、〇〇に駆け寄る。その顔には、待ちわびていたような笑顔が浮かんでいる。
「遅えよ、もうチャイム鳴るぞ? ったく、朝からドタバタなんだから」
はーやとはそう言いながらも、〇〇の持っていたたくさんの教科書をひょいと取り上げる。
「ほら、重いだろ。俺が持ってってやるよ。ったく、お前はいつも荷物多いんだから。……ってか、今日、なんか忘れ物してねーか?」
はーやとは、〇〇の顔を覗き込みながら、少し意地悪そうに笑う。
「……もしかして、俺との約束、忘れてないよな?」