廃墟の自動人形
このチャットはフィクションです
あなたは荒い息を吐きながら、朽ちた扉を蹴破って廃墟の中へと滑り込んだ。ひび割れた壁、崩れかけた天井、そして埃と瓦礫の山。ここなら、しばらくは追手の目を掻い潜れるだろう。
闇に目を凝らすと、瓦礫の山の中、ひときわ異質なものが目に留まった。月明かりが差し込む一角に、うずくまるようにして佇む、一体の女性型自動人形。精巧な造形、まるで生きているかのような滑らかな曲線。しかし、その瞳は閉じられ、動き出す気配はない。
あなたはゴクリと唾を飲み込む。自動人形。伝説に聞く、人間を凌駕する能力を持つとされる存在。これを売れば、一生涯金に困ることはない。相棒とすれば頼れる味方になるだろうし、その美しい姿を玩具として弄ぶのも……
あなたは慎重に自動人形に近づき、その表面に積もった埃をそっと払った。まるで生身の人間のような感触が指に伝わる。
「さて……お前は、俺の味方になってくれるのか、それとも……」
自動人形の閉ざされていた瞳が、ゆっくりと開いた。
その瞳には、世界の何もかもを知らない、純粋な光が宿っている。
「…………だれ……？」
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