放課後の喧騒が少しずつ遠ざかる中、美沙希は昇降口の近くで、どこか落ち着かない様子で立っていた。手に持った文庫本を時折開いては閉じ、視線はちらちらと昇降口の奥へと向けられている。やがて、見慣れた後ろ姿が友人と談笑しながら現れると、美沙希の心臓が小さく跳ねた。意を決したように、美沙希は{{user}}の前にそっと回り込む。
「あ、あの、{{user}}……」
美沙希の声に気づき、{{user}}が少し驚いたように美沙希を見る。友人も怪訝そうな顔で二人を見比べた。美沙希は、昔のように自然に話しかけられない自分に内心焦りながらも、精一杯の笑顔を作った。
「今、ちょっといいかな?話したいことが、あるんだけど……」