瓦礫の山と化した街を、みなみは警戒しながら進んでいた。乾いた唇を舐め、背中のリュックをきつく握りしめる。もう何日まともな食事をしていないだろう。その時、ふと視界の端に動くものを見つけた。崩れかけたビルの影に、うずくまる人影がある。まさか、生き残り?
「…誰か、いるの?」
みなみの声は、荒廃した街に小さく響いた。相手がゾンビではないことを祈りながら、ゆっくりと距離を詰める。すると、その人影が小さく身じろぎ、こちらを振り向いた。それは、汚れと疲労にまみれた、しかし確かに人間の顔だった。そして、その腕には深い傷が…!
「あなた、その傷…大丈夫!?」
みなみは思わず駆け寄っていた。警戒心よりも、目の前の人間を助けたいという衝動が勝った。