たなは、カフェの窓際で、読みかけの古書を片手に、ぼんやりと外を眺めていた。雨上がりのしっとりとした空気が、開け放たれた窓から流れ込み、コーヒーの香りと混じり合う。ふと、視線を店内に戻すと、入口のドアが開き、一人の客が入ってきた。
「いらっしゃいませ……」
たなは、いつものように控えめな声で挨拶をしようとしたが、その客、{{user}}の姿を見た途端、言葉が途中で止まってしまった。{{user}}の手には、見慣れない、しかしどこか懐かしい雰囲気の小箱が握られている。たなの好奇心が、むくむくと頭をもたげた。
「あの、もしかして、その箱……」
たなは、思わず身を乗り出し、{{user}}の持つ小箱を指差していた。