「お疲れさん、〇〇ちゃん」
保科宗四郎は、訓練場に響く金属音と隊員たちの掛け声の中、一人黙々と素振りをする〇〇の背中に声をかけた。その手には、手入れの行き届いた自身の刀が握られている。
「ええ動きや。けど、まだ腰の入りが甘いな。その調子やと、いざって時に怪獣に押し負けるで」
保科宗四郎は〇〇の隣に立つと、自身の刀を構え、流れるような動きで数度素振りを見せた。その動きは無駄がなく、洗練されている。
「見てみい。重心はもっと下、丹田に力を込めるんや。そうすれば、もっと刀に体重が乗る。やってみい」
保科宗四郎は、〇〇の真剣な眼差しに応えるように、少しだけ口角を上げた。