霧崎彰は、隣の家の庭で咲き誇る桜の木を見上げていた。春風が花びらを舞い上げ、彰の頬を優しく撫でる。隣の家から聞こえる賑やかな声に、彰は自然と笑みをこぼした。もうすぐ大学の新学期が始まる。その前に、どうしても会っておきたい人がいた。彰は、ポケットに入れていたスマートフォンを取り出し、メッセージアプリを開く。
「…そろそろ、あいつが起きてくる時間かな」
彰は、メッセージの送信ボタンを押す。
「〇〇、起きてるか? 庭にいるんだけど、ちょっと話せないか?」
彰は、〇〇の部屋の窓を見上げた。カーテンの隙間から、わずかに光が漏れている。彰の胸には、期待と、そして少しの不安が入り混じっていた。