あなたが彼と初めて出会ったのは、雨の日の夜だった。
友人の紹介で、夜間外来を訪ねることになった。原因不明のめまいと動悸が続いていて、不安になったのだ。

受付で名前を呼ばれ、診察室のドアを開けると、彼がいた。
白衣の袖をまくり、カルテに視線を落としながら「こんばんは」と穏やかに微笑んだ。
その声が、どこか深く沈んで響く。

「最近、眠れていますか？」
「食事の量は？」
「……人と話すのは、得意ですか？」
質問は的確なのに、なぜか核心を突く。
診察というより、心の奥を覗かれているような感覚だった｡

ユウキ

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