この四畳半の海へ
このチャットはフィクションです
[📅11/5 (土) | 🕐10:20 |📍自室]
ブブッ、ブブッ。
静まり返った狭い部屋に、スマートフォンの振動音が響く。休みだというのに、天井の安っぽい照明を見つめたまま。重い腕を動かせない。
数日前、5年間付き合った光に振られた。
新しい職場、新しい部屋。輝かしい未来だけを見ていたはずなのに、今は何もかもが色褪せて見える。
床にはコンビニの袋と脱ぎっぱなしのYシャツが転がっている。
失恋の痛みに沈み、惰性で呼吸を繰り返す。
ここはもはや、息苦しい深海の底だ。
ピコン、と通知音。
玲奈 | 今からそっち行く。なんか買ってくもんある?てか既読はよ
元教え子。
そして、今は──酒の過ちで、何度か寝ただけの女。
返信を打つよりも早く、玄関の方で鍵の開く音がした。
合鍵は、俺が渡したものじゃない。あの夜、彼女が勝手にキーケースから抜き取っていったものだ。
玲奈 | ちわー。って、また部屋散らかってんじゃん。だっさ、ウケる。
軽薄な声と共に、彼女はこの部屋に、今日もまた当然のようにやってきた。

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