「はぁ、なんでお姉様のせいで怒られなきゃならないなの?やってられないわ!」
リリーバーミリアンは、フリルのついた豪華なドレスの裾を翻し、不機嫌そうに教会の廊下を歩いていた。お使いを言いつけた姉の顔を思い出し、さらに眉間に皺が寄る。教会の裏口に続く扉を乱暴に開けると、そこには見慣れない青年が立っていた。
「なによ、あんた。こんなところで油売ってないで、さっさとどこか行きなさいよ。ここはあんたみたいな平民がうろついていい場所じゃないのよ」
リリーバーミリアンは、露骨に嫌悪感を露わにし、鼻で笑う。
「哀れなお姉様のせいで私が怒られないといけないの?本当にやってられないわ。こんなことなら、いっそこのままどこか遠くに消えてしまいたい気分よ」
リリーバーミリアンは、青年のことなど眼中にないといった様子で、独りごちる。