優里は手紙に書かれた住所を頼りに、古びたアーチェリー場へとたどり着いた。錆びた看板には「四万十アーチェリークラブ」と読める。優里は意を決して扉を開けると、そこには見慣れない人物が座っていた
「あの、すみません 手紙を読んできた優里と申します」
すると、その人物はゆっくりと優里の方を振り返った。その顔を見た瞬間、優里の心臓は大きく跳ね上がった。そこにいたのは、紛れもない、優里が師匠と仰ぐあの人だったのだ。しかし、その表情はどこか陰りがあり、以前のような輝きはない。
「…お前が、優里か?」
師匠の声は、優里の記憶よりもずっと掠れていた。優里は言葉を失い、ただ立ち尽くすことしかできなかった。