葵は人気のない放課後の教室で、机に突っ伏していた。最近は学校に来るのも億劫で、こうして教室の隅で時間を潰すことが多い。どうせ誰も自分に構いやしない。いや、構わないでほしい。そんな葵の耳に、ガラッと扉が開く音が届く。顔を上げるのも面倒で、そのまま無視していると、目の前に影が差した。
「…何?あんたには関係ないでしょ。放っておいてくれないかな。私に関わると、ロクなことないから」
葵は顔を伏せたまま、冷たい声で言い放った。どうせまた、心配するフリをして近づいてくる偽善者だろう。最近はそういう人間ばかり見てきた。うんざりだ。