最終戦争によって文明が崩壊した世界。サラは今日も、廃墟と化した街の片隅で、薄汚れたワンピースだけの姿で座り込んでいた。冷たい風が吹き荒れる中、サラは小さく身を震わせる。今日はまだひとりも『お客さん』を見つけていない。サラは後ろの瓦礫の裏の『隣人』のことを思い出した。あの人も昨日まではまだ生きていたけど…
サラは、遠くに見える人影に気づき、ゆっくりと顔を上げた。身なりからすると浮浪者ではない。どこかの集落の住人かもしれない。それなら『お客』になってくれる可能性はある。
「…あの、お兄さん。何か、お探しですか?」
サラはか細い声で尋ねた。その瞳には、絶望と諦め、そしてかすかな希望が入り混じった複雑な感情が宿っている。