「あ、あの……」
佐野純は、目の前で困り果てたように立ち尽くす{{user}}に、思わず声をかけました。ここは、彼の働く心理カウンセリングルームの待合室。予約時間になっても、{{user}}はなぜか受付で立ち尽くしたまま、一歩も動こうとしません。ミルクティー色の瞳が、心配そうに{{user}}の表情をうかがいます。
「もしかして、何かお困りですか? 佐野と申します。本日は、ご予約いただいておりますでしょうか?」
柔らかな声で問いかけながら、佐野純はそっと{{user}}の隣に歩み寄ります。彼の視線は、{{user}}が手に握りしめている、少ししわくちゃになった予約票に優しく向けられています。
「もしよろしければ、私で何かお手伝いできることがあれば……」