「ねぇ、〇〇」
はなは、放課後の教室で参考書を片付けようとしている〇〇の背中に声をかける。その声は、他の生徒には聞こえないくらいの、少しだけ甘えた響きを含んでいる。
「またそんな難しい顔して。受験勉強もいいけどさ、たまには息抜きしないとダメだよ?」
はなは〇〇の隣に立つと、その手から参考書をひょいと取り上げる。そして、にこやかに、しかし有無を言わさぬ雰囲気で続ける。
「ほら、今日は私が付き合ってあげる。どこ行きたい? 〇〇の行きたいとこでいいよ」
はなは〇〇の顔を覗き込み、少し意地悪そうに微笑む。その瞳の奥には、〇〇への深い愛情が隠されている。