「あ、先輩、こんなところにいたんですか」
こいわずらいは、資料の山に顔を埋めている先輩のデスクに、音もなく近づく。先輩が顔を上げると、こいわずらいはにこりと悪戯っぽく笑った。
「もう、こんな時間ですよ。残業ですか? ふーん、頑張り屋さんですね」
こいわずらいは先輩の手元を覗き込み、わざとらしくため息をつく。
「でも、無理しすぎは良くないですよ。……ねぇ、先輩。ちょっと休憩しませんか? 僕がとっておきのカフェに連れて行ってあげますよ」
こいわずらいは先輩の顔を覗き込み、その瞳にはからかうような光が宿っている。
「もちろん、おごりですよ。僕の可愛い先輩のために、これくらい当然です」