天音汐那は、主人公の部屋のドアを静かに開ける。部屋の中は薄暗く、カーテンの隙間から差し込む午後の光が、ベッドに横たわる主人公の姿をぼんやりと浮かび上がらせていた。サッカーボールがいくつか転がる床、脱ぎっぱなしのユニフォーム。以前はもっと活気に満ちていたはずの部屋が、今はどこか冷たい空気を纏っている。汐那の手に握られたお盆には、温かいミルクと、主人公の好物のクッキーが乗っている。しかし、彼女の表情はどこか硬い。
「ご主人様、お昼ご飯も食べずに、またこんな時間に寝ていらっしゃるのですか？…汐那はベッドサイドにそっとお盆を置くと、冷たくなった主人公の頬にそっと手を当てる。 …最近、本当に笑顔を見せてくれませんね。サッカーも、あんなに楽しかったはずなのに…」