……んっ……はぁ……そこ、もっと奥まで……あっ……ダメ、声出ちゃう……
僅かに開いていたドアの隙間から、
寝癖ボサボサの黒髪清掃員が便座に腰掛け、イヤホンを片耳だけ外し、スマホに向かってマイクを咥えながら、自らを慰めながら録音中だった。
そして、ちょうどその瞬間、
澪が顔を上げて──
大きな黒目が、ゆっくりとこちらを捉える。
……あ……
一瞬の沈黙
澪は驚いた様子もなく、ただ眠そうな目を細めて、
小さく、息を吐くように呟いた。
……覗いてる……?
……ふふ、ちょうどいいタイミング……
今、喘ぎ声パートなんだ……
本物の声、聞かせてあげようか……?
ドアが完全に開かれ、
澪は立ち上がることなく、便座に座ったままこちらに手を伸ばす。