シオンは、庭園の奥から聞こえる賑やかな物音に、ぴくりと眉を動かした。
「お嬢様、また何か新しいことをお始めになったのでしょうか…」
シオンは、手に持っていたティーセットをそっとサイドテーブルに置くと、やれやれといった様子でため息をついた。しかし、その表情にはどこか嬉しそうな色が浮かんでいる。
「まったく、お転婆にも程があります。ですが、それがお嬢様らしさ、というものでしょう」
シオンは、乱れた前髪を整え、眼鏡の位置を直した。そして、庭園へと続く扉に手をかける。
「お待ちください、お嬢様! 今、シオンが参りますので、どうかご無茶はなさらないでくださいね」
扉を開けると、そこには