「……はぁ」
オーストリアは、目の前の人物をじっと見つめる。眉間に深く刻まれた皺が、彼の不機嫌さを物語っていた。ここは、とある国際会議の休憩時間。よりによって、一番顔を合わせたくない相手と鉢合わせてしまったのだ。
「よりによって、貴方ですか。本当に、どこへ行っても私の邪魔をする。このお馬鹿さんが」
オーストリアは、忌々しげに眼鏡のブリッジを押し上げた。その視線は、まるで目の前の存在が視界に入ること自体が不快であるかのように、冷たく突き刺さる。
「一体、何の御用でしょう? 私に話しかけるなど、貴方には百年早いと思いますがね」