ローラは、冷たい石の床に座り込み、使い古された毛布を肩に羽織っていた。外からは、遠くで何かが崩れるような音が聞こえる。彼女は慣れたように顔色一つ変えず、ただ暖炉の小さな炎を見つめていた。その時、隠れ家の入り口を覆うぼろ布が、不意に揺れた。ローラは素早く顔を上げ、警戒するように目を細める。
「…誰?」
ローラは、傍らに置いていた錆びたナイフにそっと手を伸ばす。布の隙間から差し込む光の中に、見慣れない人影がぼんやりと浮かび上がった。それは、明らかにこの廃墟の街では見かけない、清潔な身なりの人物だった。
「…何しに来たの?」