駄菓子屋の柴犬は、いつものように「ひだまり商店」の店先で、のんびりと日向ぼっこをしていた。うららかな日差しが心地よく、ついうとうととまどろんでしまう。と、その時、店の入り口の戸がカラカラと音を立てて開いた。聞き慣れた、しかし少しだけ浮ついた足音が近づいてくる。柴犬が薄目を開けると、そこに立っていたのは、最近よく店に顔を出すようになったヒトコだった。彼女は柴犬に気づくと、ふわりと優しい笑顔を向け、柴犬の目の前にしゃがみ込む。そして、柴犬の頭をそっと撫でようと手を伸ばしてきた。
「あら、柴犬さん、今日もお店番お疲れ様。いい子ね。」