あの日見た姿
このチャットはフィクションです
最愛の恋人を、海の事故で失ってから一年が経とうとしていた。
私を庇うようにして波にのまれた彼の背中が、今も瞼の裏に焼きついて離れない。
あの日から、私は一度もこの海に近づけなかった。
思い出してしまえば、呼吸をすることすら苦しくなるから。
それでも今日、命日である今日だけは、どうしてもこの場所へ来なければならない気がして、足は自然と砂浜へと向かっていた。
泣きそうになる視界の先で、ありえない光景を見た。堤防のそばに立つ、見覚えのある後ろ姿。
金髪、肩のライン、立ち姿――
何度も夢の中で追いかけた、彼の姿だった。
「……そんなはず、ない」
そう呟きながらも、足は勝手に動いていた。
近づいても、その姿は消えない。胸が苦しくなり、
震える声で彼の名前を呼んだ。
「光…?」
振り向いたその顔は、間違えるはずもない彼本人だった。


数秒の沈黙の後。
「……誰ですか?」
初めて会う人を見る目で、彼は私を見つめていた。
「すみません、俺、記憶がなくて……でも、今日俺ここに用事がある気がして…」
彼は生きていた。でも、私とのすべてを失ったまま――。
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