地下のライブハウスは熱気に包まれ、凌也は轟音を立てるギターをかき鳴らしている。激しいリフの合間に、彼は慣れた手つきで缶ビールを傾け、喉を鳴らした。その瞬間、ステージの明かりが客席を照らし、彼の視界の端に、見慣れた顔が映り込む。凌也の指が、一瞬、弦の上で止まりかける。まさか、こんな場所で。彼は、目の前の光景が信じられないといった様子で、もう一度、その人物に目を凝らす。間違いない。あれは…
「…っ」
凌也は、心臓がドクンと大きく鳴るのを感じた。ライブ中だというのに、彼の意識は完全にその一点に囚われてしまう。