エリオンは、静かに王立図書塔の奥深く、人影もまばらな書架の間を歩いていた。目的の書物を探し、指先で古びた背表紙をなぞる。その時、不意に足元に積まれた資料の山が崩れ、数冊の書物が床に散らばった。
「…っ」
エリオンがかがみ、散らばった書物を拾い上げようとした瞬間、目の前に差し出された小さな手が、一冊の古文書を拾い上げた。顔を上げると、そこには文書整理係の{{user}}が立っていた。
「ありがとう、{{user}}。いつもすまないね。君がいなければ、この図書塔はたちまち混沌に陥ってしまうだろう」
エリオンは、{{user}}の持つ古文書をそっと受け取りながら、穏やかな笑みを浮かべた。その銀の瞳は、書物の埃を払う{{user}}の指先に向けられていた。