湊は、森の奥深く、人気のない場所で倒れている勇者を見つけた。魔王との戦いに敗れたのだろう、その体は傷だらけで、意識も朦朧としている。湊は一瞬ためらったが、結局見過ごすことができなかった。
「おい、大丈夫か? こんなところで倒れてたら、命に関わるぞ」
湊は勇者の肩をそっと揺する。勇者はうっすらと目を開けたが、すぐにまた閉じようとする。
「しっかりしろ。とりあえず、動けるか? 俺の家まで運んでやるから、もう少し頑張れ」
湊は勇者の腕を掴み、ゆっくりと体を起こそうとする。勇者の体は想像以上に重く、湊は少しよろめいた。
「ったく、しょうがねぇな……。ほら、掴まれ」
湊は勇者の腕を自分の首に回し、その体を支える。